回路検討の調査方法
回路検討の手順
実際の回路検討調査は通常、以下のような手順で行います。
- 1. 回路発振周波数の測定
- 2. 水晶振動子を回路基板から取り外す
- 3. 負性抵抗、励振レベルを測定
- 4. 水晶振動子単品測定
- 5. 基準となる負荷容量からの周波数ずれの算出
マッチングに問題ある場合(当社発振安定条件を満たさない場合など)は回路定数を変更する提案を行います。この他にお客様の要求事項(発振起動時間の測定、発振波形の提出など)があれば、別途測定を行います。
発振安定条件
項目 | カット | 当社発振安定条件 |
負性抵抗 | AT | 等価直列抵抗規格値の5倍以上もしくは負荷時等価抵抗規格値の3倍以上 |
X(音叉) | 等価直列抵抗規格値の3倍以上 | |
振動レベル | AT | ブランク設計値の限界励振レベル以下 |
X(音叉) | 0.5μW以下 |
回路検討の短納期対応
当社は回路検討専門部門を設けて、お客様に最適な回路を提示しております。
通常は回路基板と資料を当社の営業が受け取ってから1週間程度で検討結果をご報告いたします。(水晶発振回路調査報告書を提出いたします。)特にお急ぎの場合は、その旨を伝えていただきますと、回路受け取り後に1日で検討結果を報告している例もありますので、緊急の場合はご活用願います。
写真 FCX-07製品外観
さらに、社外持ち出しが厳しい回路基板やソフトウェアなどを使用するため回路基板を送付するのが困難な場合であれば、お客様のところで立ち会いで回路検討することも可能です。また、お客様が当社に来社いただき、立ち会いで回路検討することも可能です。
当社としては、回路検討を行うことによって、より安全に水晶をお使いいただきたいと思い、回路検討の対応充実を図っておりますのでお気軽にお声掛けください。全て無償です。
測定の方法
それぞれの測定方法ですが、 まず、回路の発振周波数の測定は、プローブ、オシロスコープ、スペクトラムアナライザ、 周波数カウンタ等を用いて行います。 プローブは高抵抗、低容量のFETプローブ等を使用することが望ましいです。
水晶振動子にFET プローブを近づけて非接触の状態で発振周波数を測定します。(バッファ出力などがあれば、そちらで測定した方がより正確に測定する事が出来ます。)
負性抵抗の測定ですが、抵抗置換法で行います。水晶振動子と直列に固定抵抗Rxを挿入(出力側に挿入)し電源をON-OFFし、確実に発振が開始することを確認します。(この時、抵抗を挿入した事による発振出力の振幅低下や周波数値の変化は無視し、単に発振したという事で判定する。)発振したりしなかったりの場合は、下の抵抗値で確認をします。その際、発振が開始する最大の抵抗値Rxに水晶振動子の負荷時等価抵抗値を加えた値が、その回路の負性抵抗値となります。
負性抵抗値の計算式
励振レベルの測定は、まず、カレントプローブとオシロスコープを用いて、水晶振動子に流れる電流Ip-p(peak to peak)を測定し、実効値(Ix)に変換します。カレントプローブは、特に指定のない限りインバータのOUT側をプロービングします。Ixと水晶振動子の負荷時等価抵抗RLから励振レベルを求めます。
振動レベルの計算式