教えて!水晶デバイス

教えて!水晶デバイス

水晶デバイスは多くの電子機器を正常に動かします。エレクトロニクスの未来に欠かせない重要な部品です。

水晶は工芸品や宝飾品など、宝石の中でも比較的なじみ深いものですが、私たちの暮らしのもっと身近なところで、ある重要な役割を果たしています。水晶とは一体どんなものなのでしょうか。そして、水晶デバイスはどのように働き、私たちにどんな未来を描いてくれるのでしょうか。

学習テーマ

  • 水晶デバイスの原理
  • 水晶デバイスの働き
  • 水晶デバイスの役割
  • 水晶デバイスの用途
  • 水晶デバイスの分類
  • 水晶デバイスの革新
  • 水晶デバイスの未来

水晶デバイスの原理

圧電効果と逆圧電効果

圧電結晶の水晶は、ある方向に機械的な圧力をかけると電気が発生します(圧電効果)。またある方向に電気をかけると変形(振動)を生じます(逆圧電効果)。これは、今から百数十年前、フランスの科学者ピエール・キューリー(キューリー夫人の夫)と兄ジャックが発見した現象です。水晶振動子や水晶発振器に代表される水晶デバイスは、この原理を利用したものです。

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水晶デバイスの働き

信頼性の高い水晶デバイス

水晶振動子・水晶発振器は、真空の容器の中にとても薄い水晶片(厚さ20~50ミクロン)が半分浮くような形で入っている電子部品です。水晶片には電極が付いていて、ここに電気を流すと規則正しく震えだします。水晶はとても純粋な結晶体であり、温度などの環境条件に対する安定性に優れているため、非常に正確で安定した振動が発生します。

その振動を電気に変えて取り出すと、規則正しく振動する電気信号(単一周波数を持つ交流信号)を得ることができます。この電気信号こそが、電子機器を正常に動かし続けるためには欠かせません。正確な時間の基準や安定した周波数が要求されるスマートフォンや自動車、医療機器などのエレクトロニクス製品に、必ず水晶デバイスが使用されているのはこのためです。

水晶振動子の構造模型

水晶デバイスの役割

オーケストラの指揮者?

オーケストラでは、様々の楽器の奏者が指揮者のタクトに合わせて演奏します。電子機器には様々な装置があって、これらがタイミングを合わせて動くためには、オーケストラと同じように指揮者が必要です。水晶デバイスは、エレクトロニクス製品の中で「指揮者」の役割を果たしているといってもいいかもしれません。

では水晶振動子・水晶発振器が電子機器の内部で果たしている重要な役割を見ていきましょう。大きく分けて2つあります。

(1) 安定した周波数を維持する役割

1つ目に、安定した周波数を維持する役割があります。無線LANやスマートフォンなど電波を利用して情報をやりとりする電子機器は、その機器の電波によって、ある一定の周波数が割り当てられています。例えばスマートフォンでは、同時に多くの人が同じ場所で利用できるように、数千チャンネルにも周波数を細かく分けて基地局と通信しています。ここで周波数が狂うと、ほかの人と混信して通話やメールができなくなってしまいます。水晶振動子・水晶発振器は、精度の高い一定の周波数を生みだすため、この周波数を基準信号として安定した周波数を維持し、それぞれの機器に合った電波の送受信を可能にしているのです。

(2) 規則正しい基準信号を作り出す役割

2つ目は、規則正しい基準信号を作り出す役割です。例えばスマートフォンは、一台あたり平均3~5個の水晶デバイスが使用されていますが、CPU(プロセッサ)を中心として時計機能、電源管理、カメラ、DRAM、フラッシュメモリ、無線LANモジュール、GPSモジュール、加速度センサー、bluetoothなど、いくつもの周辺回路から構成されています。これらは一台のスマートフォンを構成する要素ではありますが、役割が異なるため、それぞれがうまくタイミングを合わせて作動しないと、スマートフォンとしての正常な動作ができません。タイミングを合わせるためには、正確で安定した振動から規則正しい基準信号を作る必要があります。

水晶振動子・水晶発振器の役割をもう少し細かくまとめると、次のようになります。

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主な役割 用途
複数の機械間で通信する際の同期信号 無線LAN・スマートフォン・PCと周辺機器の接続などのタイミング制御
演算回路におけるプロセス制御のための同期信号 PCなどのクロック
機械制御のための正確なタイミングでの同期信号 プレーヤーなどのモーター制御
正確な時間の基準信号 時計・電子機器の内蔵時計

水晶デバイスの用途

産業の塩として活躍

「産業の塩」とも称される水晶デバイスは、重要な電子部品として多種多様なエレクトロニクス製品で使用されています。例えば、今後の自動車市場においては、自動車のより安全・快適性が求められます。センサーやカメラ、通信技術が自動運転等に展開されていくと、高精度な水晶デバイスの需要がさらに高まるでしょう。先進技術が搭載された高級車1台におよそ100個の水晶デバイスが使用されているように、エレクトロニクスの高機能化・多機能化が進むと、1台当たりの使用数量も増加するという特徴があります。

水晶デバイスの分類

リバーグループが製造する水晶デバイス

水晶デバイスは、大きく分けると「水晶振動子」「水晶発振器」「水晶フィルタ」「SAWデバイス」「光デバイス」の5つに分類できます。この中で、当社は水晶振動子と水晶発振器の2種類に絞って生産しており、さらにその中で、どこよりも早く小型SMDタイプ(表面実装型)の開発を得意としてきました。

水晶振動子と水晶発振器

水晶振動子は、人工水晶の切断方向や角度によって、さまざまな振動モードを作り出すことが可能です。厚みすべり振動をするATカット水晶振動子は、MHz帯域のタイミングを実現し、水晶の厚みが周波数を決定する要素になります。音叉型水晶振動子は、音叉の形をした水晶の屈曲で32.768kHz帯を実現します。GTカット水晶振動子は幅縦モードという輪郭系振動モードが特徴です。このように周波数や温度特性によって多様な対応が可能なことから、水晶デバイスの中では用途に適した多くの電子機器に使用されています。

水晶発振器は、水晶振動子と発振回路(IC)をひとつにした部品です。温度補償型、電圧制御型などいくつかのタイプがありますが、当社では汎用タイプを主に製造しており、様々な電子機器において活用されています。

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水晶デバイスの革新

リバーグループの技術力を教えて!

お客様の軽量・小型のニーズに対してソリューションを提供するなかで、リバーグループは独自技術とノウハウを蓄積してきました。「電子ビーム封止工法」「金属間直接接合封止工法」はその代表的な革新技術です。その他、水晶片の設計・フォトリソグラフィなどの微細加工技術、容器への高精度搭載技術などの要素技術においても、開発陣の自由な発想が活かされ、小型・高性能・高品質の製品を供給する源流となっています。

2001年に特許を取得(P3248842)した「電子ビーム封止工法」は、超微細加工が可能なだけでなく、製品の信頼性・精度が高いことに加えて高い生産性も実現しています。「金属間直接接合封止工法」は、3枚の水晶ウェハに多数個のキャップ、振動子、ベース部分を精密成形し、その後、3枚のウェハを同時に貼り合わせて気密封止した後、個々の水晶振動子に分割する革新的な工法です。この独自パッケージ技術は、さらなる寸法精度が要求される次世代製品への展開も視野に入れております。

水晶デバイスの未来

水晶デバイスが未来を拓く

スマートフォン、自動車、医療機器、さらにはインターネットにつながるモノが爆発的に増加すると予想されるIoTにいたるまで、すべてのメカニズムの正確な動作をつかさどる水晶デバイス。エレクトロニクスが拓く未来に欠かせないキーデバイスです。

水晶デバイスのことをより身近に感じていただけたでしょうか?当たり前のように過ごす社会や暮らしには、水晶が深く関わっていて、私たちを支えてくれています。普段は目に触れる機会の少ない水晶デバイスに興味を持っていただける皆様を増やす取り組みを、リバーグループでは今後も続けていきたいと考えております。そして、世界中でリバーの水晶デバイスが活躍し、快適で豊かな暮らしを創造していくことが、リバーグループの使命だと考えております。

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